【心理職で働く】求められる心理職の役割~障がい福祉の分野から~

障がい福祉の現場での心理職の役割

皆さんは、「障がい福祉」という言葉から、どのような職場や仕事を想像されるでしょうか? 障がい福祉領域には、施設での支援、居宅での支援、外出先への同行支援などさまざまなサービスがあります。筆者は今、計画相談支援という福祉サービスを提供する事業所で相談支援専門員として働いています。

筆者は前職で、保健センターでの就園前児童の発達相談や子育て教室の運営に携わっていました。小さい子どもが大好きだったため、子どもたちと触れ合える職場にやりがいを感じていました。生まれながらにして重い障がいや難しい病気を抱えている子どもたちや家族との出会いもありました。その中で「20、30年後も、この人たちが住みたい場所で、安心して笑顔で生きていくため、できることをやってみたい」と考えるようになり、障がい福祉の現場で働くことを決意しました。

計画相談支援とサービス等利用計画

計画相談支援とは、障がいや難病のある人(以下、利用者)に、どのような毎日を過ごし生きていきたいかを聴き、その思いを実現するためのサポートを考え、障がい福祉サービスや制度につなげる仕事です。

その際に必要となるのが、「サービス等利用計画」です。サービス等利用計画をふまえて各市町村が支給内容を決定するため、利用者の思いを反映しながら、必要なサービスや支援を記載していきます。

利用者によって関わる支援者も異なります。施設の支援員、ヘルパー、時には、医師、看護師、リハビリテーションの専門職の方々などとチームをつくることもあります。

筆者は、利用者や家族と会話するなかで、それぞれがもつ力を把握することを大切にしています。「思いを言葉にする力」「困っていることを認識し相談できる力」「相談員も含め、外からの新しいサポートを受け入れ、つながる力」。これらをアセスメントしたうえで、利用者に合ったサービス事業所を探します。

もう一つ大事にしているのは、支援者が心身ともに元気でいることです。チームのマネジメントも大切にしたいポイントです。日頃の電話でのやりとりや、ケース会議などを通して、互いにいろいろなことを気軽に話せる関係性を築けるように努めています。

他職種が心理職に対して期待していること

障がい福祉領域は、利用者、家族、支援者など、多くの人たちが出会い、つながりあう場でもあります。利用者によって障がい、疾患、年齢もさまざまですが、支援者においても、福祉を学んできた人もいれば、福祉現場や障がいのある人に深く接するのが初めての人も多く、一人ひとりのもつ経験や知識、スキルは多様です。

心理職には、多くの支援者に、障がいや疾患を正しく理解できるよう、分かりやすい言葉で伝えること、支援者が利用者と接する中で生じる思いに耳を傾けることが求められます。

支援者同士で利用者について話し合う場面では、支援者から、利用者に対して言語化しにくい思いを抱いていることが表現されることもあります。その思いに気づき、言葉にしながら焦点化を促し、支援者のしんどさを軽くすることで、支援者自身のもつ個性や良さを活かした支援につなげることが期待されています。

障がい福祉分野での心理士の雇用を拡大するために

多くの福祉職の人たちと出会うなかで、悔しさを感じたこともありました。それは、他職種の人たちにとって、想像していた以上に臨床心理士をはじめ、「心理士」がどのような存在なのかを知られていなかったことです。そもそも心理士はどこにいて、何ができる人なのかわからないという声も耳にしました。

公認心理師は、障がい福祉サービスにおいて、「福祉専門職員配置等加算」「福祉専門職員等連携加算」などの加算要件に名を連ねています。目の前の利用者、家族、地域課題、問題となっている事柄に対し、心理士のもつ知見、技術をどう活かしていくかを考え、周りの人たちとつながりあうなかで力を発揮することが大切だと感じています。そこで成果が認められることで、心理士としての雇用の拡大につながるのではないでしょうか。

障がい福祉分野でのやりがい

やりがいを感じるときはたくさんあります。福祉サービスや制度と利用者をつなげることで、利用者や家族の笑顔が増え、生活が豊かになり、世界が広がる瞬間を目の当たりにすることができます。

筆者がいちばんうれしいと感じるのは、支援者も利用者と一緒に笑顔になっているときです。支援者の笑顔が増えると、自然と利用者の表情もいきいきします。利用者も支援者も笑っていられる環境をつくること。難しいですが、筆者の目指す実践の目標はいつもそこにあります。

障がい福祉分野をめざす心理士へ

毎日のなかで、心地よく、楽しく、愛おしく思える瞬間はどんなときですか? そばには誰がいますか? 一度、思い浮かべてみてください。

利用者が楽しみにしていた外出の日の天気が良かったこと、毎日顔を出せる場所があり、そこに自分の名前を呼んでくれる人がいること、ずっとほしかったものが貯金して買えたこと、家族や友達への誕生日プレゼントに悩めること、今まで行ったことのなかったお店でおいしい食事ができたこと……。そんな一瞬一瞬を利用者と一緒に感じ、その思いを利用者にも分かるやさしい言葉にしたり、利用者との間に流れる空気を心地よいものにしたりする、それが利用者の心を大切にすることだと、ふとした瞬間に感じます。

何げない毎日の大切な瞬間に思いを馳せることができる人であれば、きっとこの仕事があなたの人生にも、鮮やかでやさしい彩りを与えてくれるものになるはずです。

 

(文・ライター/社会福祉法人つむぎ福祉会 生活支援センターコットン 相談支援担当 臨床心理士/公認心理師/相談支援専門員 永福沙都子)

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