公認心理師になるには

  • 2018-6-28

「公認心理師」とは、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識と技術をもって下記のような仕事を行う職業の国家資格です。

  • 心理サポートが必要な人への観察と、その結果の分析
  • 心理サポートが必要な人への 相談・助言・援助
  • サポートを受ける人の関係者への相談・助言・援助
  • 心の健康に関する知識を広めるための教育や情報提供

臨床心理士とのちがい

①臨床心理士は学会が認定する民間資格であり、公認心理師は国家資格です

これまで心理系の資格は臨床心理士をはじめとするさまざまな民間資格がありましたが、国家資格は存在しませんでした。

公認心理師は、心理に関する相談やサポートなどを仕事にする人の資質の向上と業務の適正をはかるために設けられた、初の心理系国家資格です。

公認心理師は“名称独占資格”です。公認心理師でない人は「公認心理師」や「心理師」の名称を使用することができません。

ただし、公認心理師は業務独占資格ではありません。たとえば業務独占資格である医師免許の場合、医師以外が医療行為を行ってはいけません。しかし心理サポートにおいては、公認心理師の資格がない人も行うことは可能です。公認心理師と臨床心理士は心理分野において、共存していくことが考えられます。

②資格取得のために必要な課程が異なります

これまで、臨床心理士の資格取得には大学院の専門課程の修了が必要であり、必ずしも大学で心理系科目を履修する必要はありませんでした。

しかし公認心理師の資格取得には、大学と大学院それぞれで指定された科目を修める必要があります。

③資格更新の有無

臨床心理士には、5年ごとの資格更新が必要ですが、現時点では公認心理師には資格更新の義務は予定されていません。

さまざまな分野・業界における心理職のニーズ

医療分野

心理検査や心理療法など、専門的なアドバイスや技術の提供が求められます。また、現場でのコミュニケーションのためにも一定の医学知識が必要です。カウンセリングをはじめ集団療法、認知行動療法なども行います。

現在の医療現場では、多くの臨床心理士や精神保健福祉士が働いています。また、同じコメディカルとして看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、保健師なども活躍しており、これら他職種の領域と心理分野の専門知識は密接にかかわっているため、連携することもよくあります。医療の分野では、医師の指示のもとで心理検査や心理療法などを実施して、多職種チームと共有し、患者さんの支援を行っていきます。

教育分野

主にスクールカウンセラーとして幼児・児童・生徒、保護者と教職員に対して相談・サポートを行い、不登校・いじめ・暴力などの防止、早期発見、事後対応、障害のある生徒らに対する心理検査や支援、学校へのアドバイスなどを行います。

日ごろから生徒らや保護者・教職員に、心の健康に関する教育や情報を提供していくことも大切です。

大学など高等教育の現場でも、学生・保護者・教職員への対応や組織全体へのアドバイスが求められます。

現在の教育現場では、臨床心理士、精神保健福祉士が求められているほか、キャリアコンサルタントへのニーズも高まっています。特別支援が必要な現場(養護教育など)では、発達臨床心理の理解やアセスメントの技術が求められています。

福祉分野

児童福祉施設(障害児施設・保育所なども含む)などで子どもの発達に関する知識や心理検査などの技術を生かし、子どもの状態、家族像、今の問題点などの改善に取り組みます。さまざまな視点から総合的に理解・評価することが求められます。

特に児童相談所においては「子どもの安全」のために、子ども虐待問題に対する十分な理解と、サポートを必要としない当事者とも幅広い関係を築く能力が重要です。

現在は社会福祉士、精神保健福祉士が数多く活躍しており、これらの専門職との連携した働きが求められます。家族福祉の現場では、家族心理の知識と理解が必要とされています。また、発達障害のある人へのキャリアサポートも重要です。

保健分野

乳幼児健診など母親や乳幼児への心理に関するサポート、独居高齢者の自立支援など、幅広い技能が求められる分野です。

司法・犯罪分野

犯罪や非行をした人へ(面接、心理検査、認知行動療法などを中心に)犯罪・非行にいたる原因や心理の分析、再犯・再非行のリスク評価、更生へのアドバイス、処遇プログラムの提供などを行います。当事者がサポートを求めていない状況でも、信頼関係を築く能力が求められます。

また、家庭内紛争など対立関係のある問題に対し中立的にかかわることも大切です。

身元引受人や関係者へのアドバイスとサポート、犯罪被害にあった人への相談援助、地域社会へ犯罪非行防止のための情報提供も欠かせません。

産業・労働分野

各業界で働く人たちに相談・サポート、研修などを行います。また、メンタルヘルス対策の活動を行い、労働環境の改善や労働者のパフォーマンス向上に役立てます。

カウンセリングやキャリア心理学、ストレス対処法、ワークモチベーションの維持などのサポートに加え、業務内容によっては消費者・社会心理、マーケティング、統計法など心理関連知識が求められています。

法人の種類からみても、各業界からの心理職のニーズは大きくなっており、公認心理師への期待も高まっています。

公認心理師の資格修得ルート

公認心理師になるためには、以下①~③のいずれかの方法があります。

①大学および大学院にて、心理学に関する指定科目を修める
②大学で心理学等に関する科目を修め、卒業後一定期間の実務経験を積む
③ ①②と同等以上の知識と技能があると認められる

学生の資格修得ルート

基本的には、「四年制大学・公認心理師指定大学院で指定科目を履修」または「四年制大学で指定科目を履修後、一定期間の業務を経験」したあと、公認心理師試験を受験・合格することで公認心理師資格を取得できます。

ただし法施行から5年間は、「法施行日前に大学院の課程を修了している場合」または「法施行日前に大学・大学院に入学している場合」に受験資格の特例が認められます※。

※指定された対応科目を履修する・履修済みであることが条件です。

公認心理師対応大学のリストはこちら
公認心理師対応大学院のリストはこちら

現任者の資格修得ルート ※第5回(2022年)公認心理師試験にて経過措置は終了しました

法施行から5年間は、5年以上の業務経験がある(法が施行されたときに、週1日以上の業務を行っている)場合、受験資格の特例が認められます。この条件を満たす現任者においては、30時間程度の指定講習会の課程を修了することで、受験資格を取得することができます。

 

公認心理師試験について

出題形式

全問マークシート方式で、第1回国家試験では154問出題されました(第2~4回もすべて154問)。

出題範囲

出題範囲は「公認心理師として具有すべき知識及び技能」とされており、科目や範囲は細かく定められていません。また、科目が指定されていないので、学生や現任者など、受験者によって受験科目が免除されることもありません。

合格基準

合格基準は、正解率60%以上とされています。

試験実施時期

第1回は2018年9月9日(日)に、第2回は2019年8月4日(日)、第3回は2020年12月20日(日)、第4回は2021年9月19日(日)、第5回は2022年7月17日(日)に実施されました。

第6回は2022年5月14日(日)に実施予定です。

第6回公認心理師試験のスケジュールについて

日本心理研修センターホームページを参照ください。

(2023年1月更新)

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