【わたしのヒストリー】患者さんの思いに寄り添える心理士でありたい

飯塚病院
臨床心理士
和田 花穂里

いまの働きかた

飯塚病院という総合病院で、臨床心理士として働いています。大学の心理臨床コースを卒業後、専門職大学院で実践臨床心理学を専攻し、修了後、この病院に就職して3年目になります。

飯塚病院は、福岡県飯塚市にある1,048床、診療科目数42科・部の急性期総合病院です。私が所属する臨床心理室は、現在10名の臨床心理士が常勤で働いており、すべての診療科に対応して、心理面接や心理検査などを行っています。

なかでも、小児科やリエゾン精神科、心療内科、緩和ケア科、無菌室、周産期(新生児・産科)などの領域では、担当の臨床心理士が日常的に、医師や看護師、ソーシャルワーカーなど、さまざまな他職種の人と協働して、臨床心理学的視点から患者さんのサポートにあたっています。

たとえば、がん治療の領域では、入院治療を受けている人、緩和ケア病棟に入院し苦痛の緩和を求めている人やその家族に心理支援を行っています。病気への思いや不安、これからどう過ごしていきたいのかなど、患者さんが抱えるさまざまな思いを大切にしながら、今できる支援を多職種チームで検討し、関わっています。

周産期の領域では、産後うつや不安の強い妊産婦さんを含むご家族のサポートなどを行っています。赤ちゃんとの出会いを支え、家族になっていく過程に丁寧に関わっていきます。

そのほか、飯塚病院では、保健所の乳幼児健診での発達相談や看護大学校のスクールカウンセラー、グループ企業からの業務委託(EAP事業)など、地域援助に関わる活動や、蓄積した経験やデータを今後に生かして専門性を向上していけるよう、調査・研究にも力を入れています。

私は現在、小児科で対人関係の難しさや不安の高さ、心身症など、さまざまな困りごとを抱えている子どもや保護者との心理面接を担当することが多く、子どもたち一人ひとりが少しでも過ごしやすく、安心して日常生活を送っていけるよう、日々一緒に考えながら面接を行っています。臨床経験も浅く、悩んだり反省したりを繰り返す毎日ではありますが、多くの経験豊かな先輩方が周りにいるため、よく相談をしながらチームでサポートにあたっています。

心理職をめざした理由

大学3年生のころ、先輩に誘われて「少年友の会」というボランティアグループに参加しました。このことは私のなかで現在の仕事を選んだ一つのきっかけになったと思います。

「少年友の会」では、家庭裁判所と連携して、犯罪を犯した少年へのサポートを提供し、裁判所の厳格な手続きとはまた別の側面から、子どもたちの更生を支援しています。具体的には、私は、一緒に市街地の清掃活動に参加したり、学習支援の関わりを持ったりしました。

とても限られた時間のなかではありましたが、そういった関わりを通して、表面的には見えづらい少年らの思いにほんの少し触れる経験をすることもありました。その経験が、より、「心の視点から困っている人を支えられるような仕事に就きたい」、という思いにつながりました。

実際になってみて

大学院を修了して3年目で、まだまだこの世界の入口にいるような立場ではありますが、とても責任の重さを感じる仕事ですし、エネルギーをいろいろな方面に使っています。さまざまな生育史を持つ方、幅広い年齢層の方と出会い、一回の検査や面接で、その方にも私にも本当にいろんな感情が動きます。

一つひとつの関わりを丁寧に振り返り、今後につないでいけるように考えることや、その方のこれまでの生活、面接時間以外の日常生活についてイメージすることも大切だと思っています。そんななかで、自分がその方の思いをどんなふうに受けとめ、その方にどのような言葉かけができるか悩むことのほうが多いです。その人の人生経験に触れ、学ばせてもらうことも数えきれないほどです。

また、他職種とのコミュニケーションは不可欠で、その方をチームで支えるにあたって、医師や看護師、教師、地域の相談員など、他職種の人々に臨床心理学的視点からどんなことをどう伝えればよいか、個々の臨床場面とはまた違った難しさも感じています。

このように悩み、迷いながらの毎日ではありますが、それでも、その方のエネルギーに触れる体験を重ね、その方が少しでも安心して日常を過ごせる道をたどっていけた際の気持ちを共有できる大変ありがたい役割を担わせてもらっていると思います。

これからの目標

今後も、患者さん一人ひとりとの出会いを大切に、思いに寄り添える心理士になれるよう、努力し続けていきたいと思います。

先述のように、総合病院である飯塚病院においては、心理士として幅広い業務を担当することができるため、今後もさまざまな患者さんと真摯に向き合い、自分自身の視野も広げていきたいと考えています。

心理職に就きたいと思っている学生へ

私個人としては、いろんな経験をして、いろんな世界に触れられるよう過ごしてきたことは、物事をさまざまな視点から考えようとする姿勢などにつながったところがあると思います。

また、人を支える立場に身をおかせてもらっているからこそ、自分自身がエネルギーをためられるような存在、時間をしっかり持っておくことの大切さをとても感じています。まずはご自身の健康を大切にお過ごしください。

1週間のスケジュール

月~金は病院で勤務。1,2ヶ月に一回土曜勤務。
日曜はお休み。

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