【わたしのヒストリー】再犯を防ぎ社会の安全を守る保護観察官に

さいたま保護観察所
処遇部門 保護観察官
有野雄大

いまの働きかた

私は、保護観察所という国の機関で保護観察官として働いています。保護観察とは、犯罪をした大人や非行をした少年が再び事件を起こさないように、彼らを指導したり、彼らの生活が安定するように援助をしたりすることです。

保護観察官は、ある地域(〇〇市)に住む保護観察を受けている人全員を担当します。しかし、保護観察官1人では、その地域に住む保護観察を受けている人全員の指導や援助はできないので、保護司という地域のボランティアの方と一緒になって、保護観察を受けている人の指導や援助を行います。

また、私は今、覚せい剤や大麻などの違法な薬物を使用した人たちが、再び使用せずに生活できるようにするため、その人たちに対して教育を行っており、その仕事が大きなウエートを占めています。

心理職をめざした理由

私は高校時代、弁護士になることを目標として大学の法学部に進学しました。

大学では、本を読んだり講演を聞いたりして、非行の問題や、広く教育の問題に関心を持つようになりました。そして、実際に非行少年の立ち直りを手伝うボランティアに所属して、非行少年と関わっていました。非行少年は、初めは私たちを警戒しているのか、なかなか心を開いてくれず、会話も一言二言ということが多いのです。しかし、関わりを重ねていくにつれて会話が続くようになり、彼らとコミュニケーションを取ることの面白さを感じました。

就職先を選択するときに、「ボランティアの経験を生かし、プロとして非行少年の立ち直りに関わりたい」という思いから、保護観察官という仕事を選びました。

実際に保護観察官になってみて

仕事を始めて12年目になります。その間、犯罪をした人や非行少年と数多く関わってきましたが、思うように指導が行き届かず、再び事件を起こしてしまう人が何人もいました。保護観察官の一番大切な仕事は、社会の安全を守るために、保護観察を受けている人が再び事件を起こさないようにすることなので、そういうときは、責任を感じます。

一方で、そう簡単に人を変えることはできないので、保護観察を受けている人の人生が少しでも良くなればいいなと思って、担当する人と関わるようにしています。実際に、生活が安定しなかった非行少年が、私と面接した後、少しずつ生活が良くなるよう努力して、決められた保護観察の期間よりも早く保護観察を打ち切ることができたときは、とてもうれしいものです。

これからの目標

これまでに、保護観察を受けている人の面接を数え切れないほど行ってきましたが、「うまくいった」と思えることはなかなかありません。面接を行って、その結果を書類にまとめて、自分で「うまくいった」と思うところと、「こうすればよかったな」と思うところを振り返ったり、上司からアドバイスをもらったりして、日々、研さんを積んでいます。

今は指導や助言を受ける立場ですが、いずれ、後進に対して助言をすることになるので、今のうちに多くの経験を積んで、しっかりと自分の専門性を磨いていきたいと思っています。

心理職に就きたいと思っている学生へ

心理職というと、悩みや心の問題を抱えた人に、カウンセリングルームなどに来てもらって、その中でカウンセリングをしたり心理テストをしたりするというイメージが強いかもしれません。確かにそのイメージは間違っていないと思いますし、今後もそれが心理職の仕事の軸であることに変わりはないと思います。

一方で、これからの心理職には、アウトリーチという姿勢が求められると思います。対象となる人の生活に飛び込んでいって、その人がどのような生活をしているのかをよく観察し、いろいろな角度から情報を集めて、その人がどういう人かを見立てた上で支援を行う必要があります。

もう1つ、多職種連携といって、対象となる人に関わる他の職種の人と情報を共有しながら、互いの強みを生かしつつ、協力して支援を行うことがとても大切になっていきます。そのためには、積極的に行動して情報を集める力と、他職種の人と関係を築くためのコミュニケーションスキルが必要とされるでしょう。

1週間のスケジュール

月曜日から金曜日の午前8時30分から午後5時15分まで(実働7時間45分)が勤務時間となっています。

保護観察を受けている人と面接をして、その結果を書類にまとめるというのが基本的な業務になります。ときには保護観察を受けている人の家庭訪問をすることもあります。また、週に2、3回、違法薬物を使用した人の教育を行いますが、そのときは、午前中に会場の準備をして打ち合わせを行い、午後は1時間30分教育を行った後、スタッフで振り返りをして、教育の内容を書類にまとめるので、一日がかりになります。

私は今、平日の夜と土曜日に大学院に通っていて、授業を受けたり修士論文の準備をしたりしています。仕事をしながら大学院に通うのはとてもハードですが、大学院で学んだことを仕事に生かしたり、仕事の経験を学問の形に当てはめて発表したりすることで、とても多くのことを学ぶことができています。

唯一の休みの日曜日は、家でゆっくり過ごしたり、美術館や映画館に行ったりしています。

 

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