わたしのヒストリー|言葉の力

社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス
経営企画本部
人事部  人事総務課
吉田桃子

いまの働きかた

複数の医療関連施設を持つ法人の常勤心理職として勤務しています。

病院などの医療現場で働く心理職は、主に心理検査の実施やカウンセリング業務などを行っている場合が一般的ですが、私の場合は法人内で働く人、すなわち病院や施設の職員のメンタルヘルスを専門に仕事をしています。このような「働く人のメンタルヘルス」を心理学の中で産業領域と呼びます。

働く人のメンタルヘルスには、①セルフケア(従業員が自身で自身のケアをすること)、②ラインによるケア(事業場の管理監督者によるケア)、③事業場内産業保健スタッフなどによるケア(産業医など事業場内のスタッフが行うケア)、④事業場外資源によるケア(事業場外の専門的な機関や専門家を利用し、支援を受けること)という「4つのケア」の考え方があります1)

職場のメンタルヘルス活動はこの4つすべてが必要と考えられており、私はこの内の②にあたる事業場内産業保健スタッフとして勤務しています。

具体的な業務内容は、職員へのカウンセリング業務、職場内のメンタルヘルスの啓発活動(コラムの作成・研修)、2015年より義務化されたストレスチェック2)の実施、メンタル不調で休職した職員の職場復帰対応などです。カウンセリング業務は、心身の不調を抱える人からの相談はもちろんのこと、職場の管理職や人事担当者から調子が優れない職員の相談を受けることも多くあります。

心理職というと、相談者との一対一での関わりや支援をイメージすることが多いかと思いますが、職場のメンタルヘルス全般を担当する産業領域の心理職は、個人への心理的支援だけでなく、職員が健康的に働くことのできる職場づくりや、不調者の早期発見、不調者対応、職場復帰プランの作成などさまざまな視点を持って業務を行う必要があります。

心理職をめざした理由

幼いころより本が好きで、「言葉」に興味がありました。それと同時に身近でありながら難解な「人」と「人のこころ」にも興味があったため、「人」と「言葉」に関係する分野として大学・大学院で心理学を専攻し、人と言葉に関わる仕事をしたいと思い臨床心理士を目指しました。

実際になってみて

あらためて今までの仕事を振り返ってみても、一人として同じ相談内容や背景はなかったと感じます。それほど多種多様な人や相談と向き合う毎日は、緊張する側面もありますが、同時に常に新しい出会いがあり、やりがいも感じています。

多くの場合、相談者からの相談内容はその人の生活や経歴などと大きく関係しています。それゆえ相談者との関係形成や適切な支援の提供には、心理職としての学術的な知識はもちろんのこと、心理職が日頃からさまざまな分野への幅広い知識や興味関心を持つことが仕事をしていく上でとても重要であると感じています。

また、産業領域におけるカウンセリングの対象者は、もともと健康で仕事をしていた人が一時的に心身の調子を崩している場合が多いため、適切な支援によって元気を取り戻し、職場に復帰する人も多くいます。

そのような回復過程をそばで支援できることにも、たいへんやりがいを感じています。

これから

日本では、ストレスや負荷によって働く人のメンタル疾患が増加の一途をたどっている現状があります。

働く人のメンタル疾患の代表的なものには、うつ病があります。時に自殺とも大きく関係してくる疾患ですが、適切な支援や働きかけによって発生や悪化を防ぐことができるとも考えられています。そのため、不調者の回復支援のみならず、メンタル疾患を予防する知識の提供や、メンタル不調の早期発見などにも重点を置き、不調者を減らすことはもちろんのこと、働く人たちがより健康に過ごせるよう支援していきたいと考えています。

心理職に就きたいと思っている学生へ

心理職の仕事は正解が一つというものではありません。またさまざまな人と向き合う仕事のため、時には大変なこともありますが、回復や変化など相談者の多様なニーズに寄り添い支援できる、たいへんやりがいのある仕事です。心理職は心理学や精神医学的な知識を基礎に相談者と向き合いますが、大事なのは言葉の力を信じること、また相談者自身が持つ力を信じて支援することかと思います。

新たに公認心理師も誕生し、国家資格として以前にも増して幅広い活動が期待できます。仕事としても今後、ますます発展していく分野かと思いますので、皆さんのご活躍を期待しています。

 

※ストレスチェック:「労働安全衛生法」の改正により、労働者が50人以上いる事業所で2015年12月から毎年1回、全ての労働者に対する実施が義務付けられた検査。

1週間のスケジュール

引用・参考文献

1)職場における心の健康づくり:労働者の心の健康の保持増進のための指針.厚生労働省独立行政法人労働者健康安全機構.
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000153859.pdf).28p.

2)ストレスチェック制度:簡単! 導入マニュアル.厚生労働省.
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150709-1.pdf).8p.

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