わたしのヒストリー|「いろいろな人に出会えて、正解が決まっていないからこそおもしろい」。養護教諭から心理職をめざして

公認心理師
近江 亜佳里

NPOと個人事業の二本柱

NPO法人でのケースワーカーと、個人では心理カウンセリング、ライティング、コンサルティングを行っています。

心理カウンセリングは、オンライン形式がメインで、子どもを持つ親御さんや、発達障害かもしれないと悩んでいる方から相談いただくことが多いです。ライティングは、子どもの発達、親子に関すること、職場のメンタルヘルス、発達障害、精神疾患、教員や心理職の仕事を伝える記事を中心に書いています。コンサルティングは、企業のメンタルヘルス、発達障害やグレーゾーンの方の働き方、教育事業コンテンツ開発、学童期の子どもたちの健康に関する製品開発などに対する助言を行っています。

養護教諭から心理職へ

大学を卒業してから、養護教諭として8年間勤務しました。勤務したのは中学校と病弱特別支援学校、知的障害特別支援学校です。

保健室の先生として、子どもとその周りの大人たちと話をし、その子にとって良いことは何かを一緒に考えることに大きなやりがいを感じていました。自分の働きかけで誰かが少し元気になったり、涙したりすることもあり、責任の大きさを感じるとともに、人の心って興味深いなと思い、あらためて心理学を学び始めました。

また、学校の教員という仕事は子どもの身近なロールモデルであるにもかかわらず、メンタルヘルスを保ちながら働くことが難しい現実も知り、働く方のメンタルヘルスを改善したいと思うようになりました。

そんなとき、同僚から公認心理師という国家資格について教えてもらったのが、心理職をめざしたきっかけです。経過措置があるため、自分にも受験するチャンスがあることを初めて知りました。教えてくれた同僚には感謝しています。心の健康に関する教育や情報提供が職務領域に入っていることも知り、養護教諭の経験にリンクする部分があると思いました。

合格したことで、「いつか法律や制度からこぼれている人たちにアプローチする仕事をしたい」と思っていたことに現実味がわき始めました。そして、一度学校教育の現場を離れ、思いっきりアウトリーチ活動にチャレンジすることを決めました。

自分に合った働き方を探して

求められる仕事の幅の広さに驚きました。多様な働き方が広まってきた今だからこそ、自分次第で仕事の幅を広げたり、専門家としての自分の価値を高めたりすることができる可能性を感じています。

私自身は、「教員免許や養護教諭の経験も活かしたい」という思いと、もともとPCやITツールが得意だったこともあり、その結果、オンラインをフル活用した今のスタイルになりました。NPOでの業務ボリュームと自分のマイペースな性格も考慮して、できる限り自らコントロールできる働き方を選択しています。

心理職としてのキャリアに悩む方は、可能なら、心理学と何かをかけ合わせ、自分ならではの強みができると良いと思います。SNSが好きであれば、SNSマーケティングを学ぶことも良いでしょう。スポーツや芸術に打ち込んだ経験があるなら、アスリートやアーティストのカウンセリングを専門にすることもできると思います。

あと、最優先事項として、「自分の心身の健康を保つこと」を大切にする必要があります。人の心に向き合うには、心理職であっても心のゆとりが大きく影響します。私の場合は、休日には自転車で遠出をしたり、職場でもある自宅を快適に保ち、夜は湯船に浸かってリラックスタイムをつくったりしています。

心の専門家としてどこまでできるかチャレンジしたい

ライフワークとして、どんな人も未来を夢見て生きることができる社会づくりをしたいと考えています。これは、社会人生活をスタートさせて数年がたち、これから自分が何をしていきたいかを考えるようになった20代後半くらいから変わっていません。

人生でどんな出来事があっても、自分の人生を諦めて投げ出してしまうことがないように。
生まれ育った環境や、親や周囲の影響で自分の未来を諦めることがないように。

誰かがどこかで一人ぼっちで悩んでいるときには、話を聞きたいと思います。

この考えの背景には、これまで出会ってきたいろいろな親子の姿と、人生を投げ出したいと思った私自身の経験があります。誰もが自分自身について悩む時期があると思います。私の場合は25~30歳のころに、たくさん悩みました。

・仕事をすることで、自分はどうしたいのだろう?
・これからどう生きていきたいのだろう?
・自分らしさって何だろう?

現状うまくいっていない出来事と照らし合わせて、自分のあり方についてよく考えていたと思います。

今は、「心の専門家としてできることは何だろう?」と考えながら、今の時代だからできることにたくさんチャレンジしていきたいと考えるようになりました。

カウンセリングだけではなく、企業へのコンサルティングを始めたのもこの思いがきっかけです。私のような心理職が一人でできることはあまり多くありませんが、企業の持つパワーと影響力はすごいものです。企業へのコンサルティングを通してたくさんの人にリーチできることが、間接的に自分のライフワークの実現にもつながっていると思っています。

自分の言葉を「書くこと」で、読んでいる誰かの心を動かしたいと思い始めたライター業も、3年がたちました。なかなか思うような文章が書けずにいますが、どこかで自分の文章を読んだ人の心が少しでも軽くなったなら、そんなにうれしいことはありません。

人と「対話すること」を大切に

対話とは、何気ないやりとりでの会話よりも、しっかりと相手と向き合って話をすることです。コミュニケーションをとり、関係性を築いていきます。

心理職は、人と対話を重ねる仕事です。他人を完全に理解することはできないので、相手のことを少しずつ知りながら向き合うための努力が必要になります。

私は、これまで出会ってきた人や、周りにいてくれる仲間との対話が、心理職として働く上で非常に大切だと感じています。

幸いなことに、自然と対話ができる友人が周りにいて、仕事でも自分の思いや考えを話し合う機会がたくさんありました。自分の思いがわからなくなり、悩むこともありました。

対話には、人と向き合いながら、自分とも向き合っていくというステップが存在します。いろいろな人との対話を積み重ねることが、心理職としての幅を広げてくれます。ぜひ、積極的に人と話してみてください。

相手のことをいろいろ想像しながら、相手を少しずつ知ることが大切です。

何気ない日常会話もとても楽しいものですが、「自分はこう思う」「あなたはどう考える?」「〇〇と聞いてこう感じた」「自分が大事にしているのはこういうこと」など、身近な人と深い話をする時間を取ってみてください。

日常生活の中で、誰かとごはんを食べているときや、家族とのんびりとした時間を過ごしているとき、学校への登下校のときなど、対話のチャンスは日常にたくさんあります。

そしてぜひ、いろいろな年代、いろいろな経験をしている人と話してみてください。苦手なタイプの人や、自分といつも意見が合わない人と話してみるのも新しい気付きをもたらしてくれます。きっと、あなたが心理職として誰かに向き合うときに、その大切さを感じる瞬間があると思います。

心理の仕事は、いろいろな人に出会えて、正解が決まっていないからこそおもしろい。

私は心理職として仕事をスタートしてから、いつもそうに思っています。

 

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