不眠症に対する認知行動療法|心理士が選ぶ!公認心理師試験で押さえておきたいトレンドキーワード

不眠症に対する認知行動療法

不眠症の認知行動療法(cognitive behavioral therapy for insomnia;CBT-I)とは、入眠困難や中途覚醒、起床困難などの不眠症状に対する認知行動療法であり、不眠症状の改善に効果がある非薬物療法の1つです。CBT-Iでは、睡眠衛生に関する心理教育を冒頭のセッションで行い、クライエントの誤った睡眠に関する理解を修正します。

たとえば、入眠直前のスマートフォンの使用や、カフェインなどの物質の摂取が入眠を阻害すること、また、日中に太陽の光を浴びることが良質な睡眠を確保する上で不可欠であることなど、良質な睡眠を得るための正しい情報を提供します。ホームワークでは、睡眠日誌の記録を行い、睡眠パターンをアセスメントします。その上で、睡眠スケジュール法(刺激制御療法、睡眠制限療法)を実施し、眠れないにもかかわらずベッドにいる時間が長くなっていないか、必要だと考える睡眠時間が長すぎないかなどを検討していきます。

睡眠時間の調整だけでは症状の改善が見込めない場合は、リラクゼーション法で副交感神経の活動を自発的に高める練習や、認知的要因に対してアプローチをするなど、クライエントの症状に対して既存のCBTの技法を用いることもあります。

予想問題を解いてみよう!

問題:不眠症に対するアプローチとして正しいものを1つ選べ。
①不眠症に対しては、不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)の有効性が報告されており、国内においては、CBT-Iを試みた上で睡眠薬の処方を行うことが推奨されている。
②CBT-I単独の実施と、CBT-Iと睡眠薬の併用療法では、CBT-I単独での実施の方がその効果が高くなる傾向にある。
③CBT-Iの成人に対する効果は実証されているが、子どもや高齢者に対するエビデンスは乏しいため、これらの対象は避ける必要がある。
④認知行動療法の第三世代に分類されるマインドフルネス療法が、不眠症状の軽減に効果的であるとの報告がある。
 

解答を見る

正答:④
①国内ではCBT-Iのエビデンスの少なさ、CBT-Iを実施できるセラピストが少ないことなどから薬物療法が第一選択となっている。
②CBT-Iと睡眠薬の併用療法の方が、その効果が高くなる傾向にある。
③子どもや高齢者に対する効果も実証されている。

 

【参考文献】
1)岡島義.CBT-Iの理論と実践.心身医学.58(7),2018,616-21.

(構成・文/公認心理師 洲脇利広)

 

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