知的障がいの定義と関連する法律や制度|心理士が選ぶ!公認心理師試験で押さえておきたいトレンドキーワード

知的障がいの定義と関連する法律や制度

発達には「定型発達」と「非定型発達」があります。

「定型発達」とは、発達段階の順序、時期が標準的・適応的であることを示し、標準から外れ、不適応的な発達を示すことを「非定型発達」といいます。身体的な成長が阻害される早産、低出生体重児、成長障害などがあります。

成長障害には、身体機能が原因となり起こる発育不全である「器質的発育不全」、そして、発育を阻害する身体的な疾患などがみられない発育不全や食物が十分に与えられていないなどの環境的ネグレクト、刺激の剥奪などが原因となる「非器質的発育不全」があります。

精神的な非定型発達としては「発達障害」や「アタッチメント障害」などがあり、DSM-5では、発達障害は「神経発達症群/神経発達障害群」に分類されます。

「知的障害」は、IQ70以下といった全般性知能の障害が発達期(おおむね18歳以下)で出現する状態のことをいいます。DSM-5では、「神経発達症群/神経発達障害群」に、ICD-10では、「精神遅滞(F7)」に分類されています。

非定型発達への介入・支援で重要となるのは早期発見・早期療育です。これらを効果的に行い本人に適した環境を整えることで、二次障害を予防することもできます。同じように、本人に自分の障がいを伝え、それを受け入れられるよう支援していくことも大切です(障害受容)。

予想問題を解いてみよう!

問題:知的障害に関する記述として、正しいものを1つ選択せよ。
①ICFでは、障害への心理的支援において、診断名ではなく、生活のなかの困難さに焦点を当てることが重要視されている。
②療育手帳の支給は、自治体にもよるが、18歳未満でのIQが80以下であることが基準となる。
③精神保健福祉法における障害者の定義に、知的障害者は含まれない。
④障害者虐待防止法の対象は、身体・知的・精神障害者の養護者、障害者福祉施設従事者のみで、使用者である職場の上司などは含まれない。
 

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正答:①
ICF(国際生活機能分類)は、世界保健機構(WHO)による健康と障害の分類である。ICFは「社会モデル」ともいわれ、(1)心身機能・身体構造(2)活動(3)参加、という中立的な言葉を使い、それが「どのくらいできるか」により健康度をみていく。さらに、(4)環境因子(5)個人因子、を考慮し、それぞれの要素が互いに影響しあうことを重視している。ICFは、その人のストレングス(強み)やできることをいかし、生活機能を向上させようとする方向性をもち、生物・心理・社会モデルに共通した考え方を含んでいる。
②は「IQが80以下」ではなく「IQが70以下」。療育手帳は児童相談所または知的障害者更生相談所において、知的障害があると判定された人に交付される。
③知的障害者は含まれる。
④使用者である職場の上司や、事業主が含まれる。

 
【参考文献】
1)厚生労働省.障害者手帳.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/techou.html(2021年5月13日閲覧)
 
(構成・文/社会福祉法人つむぎ福祉会生活支援センターコットン 相談支援担当 臨床心理士・公認心理師・相談支援専門員 永福沙都子)
 
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