【わたしのヒストリー】教育と臨床心理学というそれぞれの専門性をつなげる

大阪学院大学経済学部
講師/臨床心理士
岩岡眞弘先生

いまの働きかた

2018年3月に、公立学校の教員を定年より1年早く退職し、同年4月から大阪学院大学に勤めています。大学では全くの専門外の経済学部に所属し、教職課程の科目を担当しています。公立学校の教員時代に経験した不登校、非行、虐待などのさまざまな生徒指導の事例を、臨床心理学の知見から考えています。

また、学生相談のカウンセラーも兼任しており、そこでは学習、対人関係、進路選択などについて、コラージュ、バウム、箱庭、風景構成法などの技法を用いながら、クライエントとともに考えています。

心理職をめざした理由

大学では、農学部を卒業し、農業科の高等学校の教員になりました。その学校現場で、不登校、非行、いじめ、虐待などさまざまな困難を抱えた生徒たちと出会いました。それは、トピックとしては聞いていても、教職課程では習わなかったことばかりでした。私はそこで、「ああしなさい」「こうしなさい」と言い続けてきたのですが、いつも何か違うなという違和感を感じていました。そんな時、彼らは「自分の話を聞いてほしい」と思っていることに気が付きました。そこから、何よりも生徒理解が大切で、そこから始まる何かがあると思うようになりました。それが私と臨床心理学との出会いでした。

その後、教育相談の研修会などに積極的に参加し、河合隼雄先生をはじめとする臨床心理学の書籍を読みあさるようになりました。そのような実践を積みながら鳴門教育大学大学院に内地留学し、本格的に臨床心理学を学ぶ機会に恵まれました。修了後、現場に復帰し、臨床心理士の資格を取得した後、特別支援学校に転勤し、発達障害の子どもたちと出会うこととなりました。

実際になってみて

資格取得後は、専門にしている人たちと交流する機会も増え、学会や研究会などで世界が広がり、自分自身のスキルアップを実感しました。そして同時に、クライエントや生徒たち、そして自分自身を含めた人間観も、より深まったように感じています。

また、専門家としての責任の大きさも感じるようになりました。そして、病や困難、障害が、その人にとって生きていくうえでどのような意味があるのか、そして「治る」とはどういうことなのか……、人間という存在について、深く考えさせられました。それは今も続いています。

これからの展望・希望

長く教員生活を送っていたこともあり、臨床心理学だけではなく、教育も自分の専門分野であると考えています。臨床心理士としての専門性があるのと同様に、教育にもその専門性があります。私は両方を知っている者として、それらをつなげることが、今後に少しでも貢献できることではないかと考えています。

スクールカウンセラー制度が始まり、20年になろうとしています。それは、臨床心理学が学校現場に定着し、その知見も浸透しつつあると考えています。これからは、教育と心理臨床が、それぞれ車の両輪のように互いを補い合うことで、より効果的な支援につながっていくのではないかと考えています。そのために、基本となるべきカウンセリングやアセスメントなどのスキルをさらに向上させたいと思っています。

心理職に就きたいと思っている学生へ

臨床心理学で対象となる「心」は、目に見えず、実体のあるものではありません。それは想像力による産物といっても過言ではないでしょう。その「心」に関わる人間として、やはり想像力が大切なのではないかと思います。しかし、豊かな想像力を持ちながらも、それに引きずられることなく、今ここで、生きている現実を見つめる目も必要です。

生きることは、とても長く続く過程です。そこを心理職という道を選び、一緒に歩む者として、何事に対しても容易に結論を出すことなく、その葛藤を抱えたまま生き続ける逞しさや強さも持てるようになってほしいと思います。

1週間のスケジュール

月曜日 大学で授業
火曜日 大学で授業
水曜日 学生相談室
木曜日 大学で授業
金曜日 研修など
 

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