公認心理師や臨床心理士の仕事の探し方|心理職の就職・転職情報
- 2020-2-1
- 就職・転職
いつでも応募できるように備えておく
国家資格である公認心理師は、第1回試験が2018年9月に行われ、2019年から登録が始まりました。まだ資格登録者の就職状況を示す統計資料はありません。
ですので、1988年から認定を行っている臨床心理士有資格者のデータを参考にしていきます。
臨床心理士は2018年の時点で、計35,912人が取得しています。第1回試験があった1988年当時の取得者は1,595人のため、この31年間で臨床心理士の人数は約22倍になっています1)。
年齢の人数分布にも注目してみます。30代が最も多く、40代、50代、60代の順となっています2)。
資格ができた1988年に30歳だった方が、まだ在職していれば62歳となっています。臨床心理士の希少性が高かった資格創設時、心理士の求人は好条件でした。当時、そのように良い条件で職に就いた心理職があと数年で定年退職を迎える時期です。もう数年で、良い条件の求人が市場に出回ることが予測されます。そのときに備えて研鑽を積み、面接や心理検査、多職種連携・地域連携のためのスキルを磨いておきましょう。
心理職はいまだに一人職場や少人数での職場が多く、求人の要綱には「心理検査を実施可能で、一人で所見の作成が可能な方」とよく書かれています。所見まで一人できっちり書けるように勉強しておくなど、条件の良い求人があればいつでも応募できるように準備しておきましょう。
公認心理師・臨床心理士の仕事の実態
臨床心理士の雇用形態
臨床心理士の雇用形態は以下の通りです2)。
・常勤 47.6%(うち、常勤のみ33.8%、常勤+非常勤13.8%)
・非常勤のみ 44.7%
社会保険や各種手当、退職金の有無、安定した賃金などの条件面では、常勤の方が有利です。
一方で、常勤だと、勤務先の運営に関わる仕事を任される場合も多く、事務作業やマネジメント、掃除、行事の準備、係活動などをはじめ、心理士の仕事以外に時間を取られることもあります。面接や心理検査をはじめとした心理職の仕事を中心にしたい方には不向きかもしれません。
公認心理師は、常勤・非常勤に関わらず、職場内外との連携を行うことが求められています。職場内の人間関係の構築も業務の一部といえるでしょう。毎日同じ職場に勤めるため、上司や同僚とより親密な人間関係をもつことになります。そうなると、心理職にとって大切な「独立性」を守ることは少し難しくなるかもしれません。
非常勤の強みは、心理士の「独立性」を比較的守りやすいこと、かけ持ちで働くことでさまざまな職域での経験を積めることなどが挙げられます。しかし、雇用が永続的にあるかは不明なため、社会的な保証の面では弱さがあります。継続的に心理療法やカウンセリングなどを行っていても、雇用が突然なくなる可能性があります。面接を中断せざるを得なくなったとしたら、クライアントにとってデメリットといえるでしょう。
臨床心理士の年収
開業している心理士や、大学教授では年収が1,000万円を超えている人もいます。しかし、平均的な年収は以下のとおりで(2015年度の見込み年収)2)、半数以上が200~400万円となっています。
・第1位 300万円台 19.0%
・第2位 200万円台 16.5%
・第3位 400万円台 15.5%
国家資格である「公認心理師」ができたことにより、臨床心理士と合わせて、2つの資格手当が支給されることになった職場もあります。収入については、今後変化するかもしれません。
公認心理師や臨床心理士の求人の探し方
では、実際にどうやって仕事を探せばよいのでしょうか。
1.人材紹介サービスの利用や転職エージェントに依頼する
2.学会や、日本臨床心理士会などの職能団体の求人情報を見る
3.ハローワークに行く
4.twitterなどのSNSで情報収集をする
5.求人情報を検索できるサイトを見る
6.知り合いの紹介
以上が、おもな探し方です。
信頼できる筋からの紹介で心理職を雇用したいと思う経営陣は多く、職務内容や給与の面で条件が良い仕事は、知り合いの紹介で回ってくることもあります。しかし、知り合いからの紹介数には、卒業した学校によって差があります。これから進学を考えている人は、可能であれば入学説明会などの際に、「この学校は就職の紹介をしてくれますか」「卒業生とのつながりはありますか」と在校生や教員に確認しておくことが、将来の仕事探しのポイントです。
学校によっては卒業生のメーリングリストもありますし、実習先のつながりから紹介してもらえることもあります。過度な心配はしないでください。
参考文献
1)「臨床心理士」資格取得者の推移.公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会.2019.http://fjcbcp.or.jp/shitokusha/(2020年2月1日閲覧)
2)第7回「臨床心理士の動向調査」報告書.一般社団法人日本臨床心理士会.2016.https://www.jsccp.jp/(2020年2月1日閲覧)
(文・構成/公認心理師・臨床心理士ライター 河本 艶)