公認心理師・臨床心理士の求人数は地域によって差があるのか|心理職の就職・転職情報
- 2020-2-1
- 就職・転職
この記事では、以下についてお伝えします。
・公認心理師・臨床心理士の地域による求人数の差
・精神科病院数と臨床心理士の人数の比較
・公認心理師・臨床心理士の求人を探すために
公認心理師・臨床心理士の地域による求人数の差
心理職の求人は、公にならないものも多くあります。ですので、正確な数はわかりません。一例として、2019年1~8月に、日本臨床心理士会の公式サイトに掲載された「東京」「大阪」「愛知」の求人数を数えてみました1)。
・東京都 常勤 6件
・東京都 非常勤 14件
・大阪府 常勤 0件
・大阪府 非常勤 0件
・愛知県 常勤 2件
・愛知県 非常勤 2件
このデータでは、地域によって求人数に差があることがわかります。
次に、これらの地域での臨床心理士の人数を見てみましょう。2017年度の日本臨床心理士資格認定協会の調査によると2)、東京都は5,819人、大阪府は2,211人、愛知県は1,848人です。
東京は、求人案件も多く、応募するチャンスにも恵まれています。ですが、臨床心理士の数も多いので、応募人数も多くなります。競争率を考えると、別の地域にも目を向けるとよいかもしれません。
同データによると、臨床心理士が一番少ない都道府県は秋田県で、123人が登録されています。
秋田県には「精神科を標榜する医療機関」が37カ所あり、人口10万に対する数では、全国平均を上回ります。また、精神科のみの病院(精神科単科)の病院は16か所で、同じく人口10万に対する数では、全国平均の2倍です3)。
データ上は、秋田県が臨床心理士の人数が日本一少なく、就職先の一つである精神科は全国平均よりも多いことになります。
また、秋田県では「不登校・いじめ問題等対策事業」を政策として進めています。スクールカウンセラーは、中学校の80校に配置、高校の52校に配置されています4)。スクールカウンセラー未配置校には広域カウンセラーが配置されており、学校領域においても臨床心理士の活躍の場があります。
秋田県だけでなく、臨床心理士の受験資格を得るための指定大学院の少ない地域は臨床心理士の人数も少ないようです。本記事では一例として秋田県のデータを取り上げましたが、ぜひ、ほかの都道府県も調べてみてください。求人応募の競争率が低いだろうと推測できる地域が見つかるかもしれません。
精神科病院数と臨床心理士人数の比較
2017年の臨床心理士の動向5)によると、臨床心理士が最も多く勤務している機関は「病院・診療所」で全体の34.7%に上ります。この「病院・診療所」には総合病院、内科や小児科なども含まれますが、精神科病院の数のみをみていきます。2017年の精神科病院の数は、以下の通りです6)。
・東京都 50施設
・大阪府 39施設
・愛知県 38施設
大阪府と愛知県の臨床心理士の人数には約400人の差がありますが、精神科単科の病院の数はほぼ同じです。
他の地域は、以下のとおりです。
・北海道 臨床心理士 776人 に対して 精神科病院 68施設
・宮城県 臨床心理士 424人 に対して 精神科病院 26施設
・福岡県 臨床心理士 1,363人 に対して 精神科病院 61施設
・熊本県 臨床心理士 272人 に対して 精神科病院 38施設
・鹿児島県 臨床心理士 323人 に対して 精神科病院 37施設
この数字のみだけでいうと、精神科病院で働いてみたい方は、九州に目を向けてみるとよいかもしれません。
公認心理師・臨床心理士の求人を探すために
臨床心理士の求人や統計資料に着目し、ここまで以下のことを書きました。
・地域によって求人数に差があること
・東京・大阪・愛知の中では、愛知が臨床心理士の人数に対し精神科病院の数が比較的多め
・首都圏以外の求人状況にも目を向けてみるのもおすすめ
都心から離れた地域には、常勤職で勤務条件が良く、かつ、歴史もあり研修がしっかりとしている機関の求人も多数あります。ですが、新人のうちに都心から離れた場所に就職すると、「外部研修に行きづらい」「困ったときに母校を頼りづらい」などのデメリットも出てきます。
心理職として働く上で何を大切にしたいかを明確にし、就職する地域を絞っていくとよいでしょう。
参考文献
1)求人情報.一般社団法人日本臨床心理士会.https://www.jsccp.jp/(2020年2月1日閲覧)
2)都道府県別・臨床心理士数と指定大学院・専門職大学院数一覧.公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会.2017.http://fjcbcp.or.jp/wp/wp-content/uploads/2014/03/toudofuken-betsu-ichiran-3.pdf(2020年2月1日閲覧)
3)秋田県医療保健福祉計画(平成30年4月施行).2018.https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/3120(2020年2月1日閲覧)
4)不登校・いじめ問題等対策事業.https://www.pref.akita.lg.jp/(2020年2月1日閲覧)
5)第7回「臨床心理士の動向調査」報告書.一般社団法人日本臨床心理士会.2016.https://www.jsccp.jp/(2020年2月1日閲覧)
6)平成29年(2017)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況.厚生労働省.2017. https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/17/dl/09gaikyo29.pdf(2020年2月1日閲覧)
(文・構成/公認心理師・臨床心理士ライター 河本 艶)