チック|心理士が選ぶ!公認心理師試験で押さえておきたいキーワード

チック

チックは、本人の意思に関係なく、突然、体の一部が動いたり、音や声が出たりして、それを繰り返す状態です。それぞれ「運動性チック」「音声チック」といいます。

運動性チックは、不自然なまばたき、首振り、顔をしかめる、ジャンプする、口の周りをなめる、肩をすくめる、首を振る、手で鼻をこする、などがあります。音声チックは、咳払い、鼻や喉を鳴らす、奇声、卑猥な言葉を言う(汚言症)、相手の発した言葉を繰り返す(反響言語)、自分の発した言葉を繰り返す(反復言語)などがあります。

小児期の発症は珍しいことではなく、まばたきや肩をすくめるなどの単純運動チックから始まり、1年以内で収まります。1年以上チックの症状が続く場合には、強迫性障害やADHDの併存が見られる割合が高くなります。複数の運動性チックと音声チックの両方の症状が頻繁に起こり、1年以上続くものはトゥレット症候群とされます。DSM-5の診断基準では、発症は18歳以前とされています。

原因は解明されていませんが、脳の機能の問題と考えられており、ドーパミンという神経伝達物質が関連しているという説や、チックを起こしやすい脳機能が遺伝するという説があります。育て方は直接的な原因ではありませんが、ストレスや不安、緊張がきっかけとなることはあります。チックを指摘し過ぎたり、叱責したりすることは逆効果になることが多く、安心して過ごせる環境をつくること、セルフイメージを低下させないことが大切です。

治療は児童精神科、精神神経科で行います。まずは、睡眠時間を確保し、ゲームを制限するといった生活リズムを整える生活指導を行います。子どもでも年長になれば、認知行動療法が可能になります。本人の困り感によっては薬物療法を検討することになります。薬物療法ではドーパミンを調整します。なお、てんかん発作やアレルギーなど、他の疾患と似たような症状がある場合は検査を行います。

予想問題を解いてみよう!

チックについて、誤っているものを2つ選択せよ。

①チックは眠っているときには症状が減ったり、出なかったりすることが多い。
②チック症は、強迫性障害やADHDを併存する割合が高い。
③チック症は心の病であり、心理的なストレスが一番の原因である。
④チックの症状は、通常、安心できる家庭より、気が張っている園や学校で頻繁に出る。
⑤DSM-5において、チック症群/チック障害群は、ASDやADHDと同様、神経発達症群/神経発達障害群の1つに位置付けられる。
 

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正答:③④
①○
②○ 強迫性障害はトゥレット症候群の3~4割、ADHDは半数以上に合併があるという話もあるほど、両者の関係は深い。
③× 心理的な要因が症状に影響を与えることはあるものの、直接的な原因ではない。ドーパミンを調整することによりチックの症状が改善されることが分かり、脳内の問題が原因なのではないかと考えられている。
④× チックはリラックスしているときのほうが出やすい。
⑤○

 
【引用・参考文献】
1)星加明德.チックとトゥレット症候群がよくわかる本.東京,講談社,2010,23-31・36・38・46・54-60.
2)星野恭子.チック症、トゥレット症の臨床.令和2年度 厚生労働省 母子保健指導者養成研修 子どもの心の診療医 指導医研修資料.2020,スライド10・23-4.
3)DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引.日本精神神経学会(日本語版用語監修).髙橋三郎・大野 裕(監訳).東京,医学書院,2014,448p.
 
(文・構成/公認心理師 本原 圭)
 
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