ゲーム・ネット依存|心理士が選ぶ!公認心理師試験で押さえておきたいトレンドキーワード

ゲーム・ネット依存

いわゆるゲーム・ネット依存は、ICD-11で「ゲーム障害(ゲーム症)」として依存症分野の嗜癖行動による障害の中に加えられ、DSM-5では「インターネット・ゲーム障害」として、今後、研究が進められるべき精神疾患の1つとして提言されています(以下、「ゲーム・ネット依存」と表記)。

臨床像としては、
・ゲーム・ネットに関する行動のコントロールができない
・ゲーム・ネット優先の生活となり、それ以外の楽しみが減り、昼夜逆転や十分な食事が摂れないといった生活の乱れが顕著である
・ゲーム・ネットにより、不登校や引きこもり、高額な課金など著しい問題を引き起こしているにもかかわらずやめられない
という状態を指し、使用を制限されると暴力的になるなどの問題が起きます1)

ゲーム・ネット依存は脳機能の変化を引き起こすため、依存や病気であるという自覚が乏しく、依存状態から抜け出すことが難しくなります2)

治療は、うつや発達障害など、他の疾患がなければ基本的に薬物治療は行わず、対話によりゲーム・ネットの使用をコントロールする力をつけるよう焦らず調整していきます。通院で診察、カウンセリング、デイケア(作業療法、運動療法、集団精神療法、ソーシャルスキル・トレーニング)などを行い、重篤な場合には入院治療も行います。家族の協力が必要であり、解決を焦らないためにも、家族会への参加は治療に有効だといわれています2)

予想問題を解いてみよう!

問題:ゲーム・ネット依存について、正しいものを1つ選択せよ。
①ゲーム・ネット依存の診断基準は確立されていない。
②ゲーム・ネット依存の患者の脳機能には変化がみられる。
③ゲーム・ネット依存の治療では、ゲーム・ネットといった依存対象から完全に引き離すことが重要である。
④ゲーム・ネット依存の治療は、薬物療法が基本である。
 

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正答:②
②脳では理性をつかさどる前頭前野が、本能をつかさどる大脳辺縁系よりも優勢に働き、バランスよく機能することで行動をコントロールできる。しかしゲーム・ネット依存では前頭前野の機能が低下し、このバランスが崩れるため、コントロールが難しくなる2)。また脳の報酬回路が変化し、快楽を感じにくくなると考えられている3)。このような脳機能の変化があり、病気として治療することが必要である。
③ネット・ゲーム依存では、他の依存症と同様、完全に引き離すと渇望の問題が起こり、ネット・ゲームの刺激に対する強い反応が出る。また、それまでの積み重ね(ゲームの記録やランキング、オンライン上の人間関係等)が途切れ、大切なものを奪われたことで、ネット・ゲームへの執着はむしろ強まる。現代社会ではパソコン、スマホから隔離した生活は難しく、ゲーム・ネット依存の治療では、依存対象を遮断するのではなく、家族や支援者、仲間等とのオンラインではないリアルな人間関係における対話を大切にする2)

 
【引用・参考文献】
1)厚生労働省.第2回ゲーム依存症対策関係者会議 資料2(曽良氏資料)インターネット・ゲーム障害.スライド3.https://www.mhlw.go.jp/content/12205250/000759249.pdf(2021年7月5日閲覧)
2)樋口進監修.ネット依存・ゲーム依存がよくわかる本.東京,講談社,2018,102.
3)前掲書1.スライド8.
 
(構成・文/公認心理師 本原 圭)
 
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