遊戯療法|心理士が選ぶ!公認心理師試験で押さえておきたいキーワード

遊戯療法

遊戯療法(プレイセラピー)は遊びを通して行われる心理療法のことで、基本的には乳幼児~学童期の子どもを対象に行われます。子どもの心理的課題は、不登校や登園しぶり、暴力や盗み、おもらしや遺糞、爪かみ、抜毛、夜驚といった行動や、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、頭痛、腹痛、嘔吐、脱毛など原因不明の身体症状として現れます。このような心理的課題をもつ子どもや発達障害をもつ子ども、虐待を受けている子どもに対して、遊戯療法を行います。

子どもは言葉で自分の気持ちを十分に表すことができないため、身体を使う遊び、ごっこ遊び、ボードゲーム、描画など、遊びを媒介にして心理的な課題や内的な世界を表現させます。セラピストとの関係性の中で安心して豊かな感情表現をすると同時に、さまざまな心の体験をしながら、遊びを展開していきます。子どもの抱える心理的課題について、言葉でやり取りされることのないまま、症状が改善したり、適応がよくなったりすることが、遊戯療法ではよく起こります。

このような遊びのもつ治療的機能は流派を超えて認められており、アンナ・フロイト、クライン、ツリガー、ローエンフェルトの時代からレヴィ、アレン、アクスラインと、現在の遊戯療法の形へ発展してきました。「アクスラインの8つの基本原理」は、遊戯療法におけるセラピストの姿勢を示したものとして有名です。子どもを受容すること、共感的な理解をすること、子どもの主体を尊重することと同時に、制限を設けることが示されています。このように、子どもがもつ課題に変容をもたらすためには、セラピストとの関係性や、プレイルームが安全で自由な「守られた場」として機能すること1)が重要です。

予想問題を解いてみよう!

以下の遊戯療法についての記載で、正しいものを1つ選択せよ。
①「アクスラインの8つの基本原理」には、受容や共感的理解など、セラピストの治療的態度が示されている。
②遊戯療法では何も制限は設けず、自由な心の表現を大切にする。
③箱庭療法は大人を対象としたものであり、遊戯療法の中で行われることはない。
④子どもの心理療法は、ユングの分析心理学を発端にし、ユングの考え方を中心に現在の遊戯療法の形へと発展した。
⑤発達障害の子どもの心理的治療には療育が適切であり、遊戯療法は効果がない。
 

解答を見る

正答:①
①○ その他、子どもの主体性の尊重、非指示的な態度、制限などについて示されている。
②× 日時と場所が決められ、明確な構造があるということが守りとなり、心理的課題に向き合うことができる。
③× 箱庭療法は砂箱にミニチュアを置き、自由にイメージを表現するという心理療法である。プレイルームの中に箱庭とミニチュアが置かれ、遊戯療法としても行われることがある。
④× 子どもの心理療法は、流派を超えて発展してきた。
⑤× 発達障害の子どもの療育は、心理的治療が目的ではなく、生活スキル、ソーシャルスキル等を身につけるために行われる。

 
【引用・参考文献】
1)弘中正美.遊戯療法と子どもの心的世界.東京,金剛出版,2002,31・45.
2)弘中正美.遊戯療法と箱庭療法をめぐって.東京,誠信書房,2014,12-8.
3)伊藤良子.遊戯療法:様々な領域の事例から学ぶ.京都,ミネルヴァ書房,2017,15-6.
 
(文・構成/公認心理師 本原 圭)
 
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