高次脳機能障害、依存症候群への支援|心理士が選ぶ!公認心理師試験で押さえておきたいトレンドキーワード
- 2021-9-12
- 国家試験対策
高次脳機能障害
心理士が行う地域支援の対象は、先天的な疾患や障がいのある人だけではありません。病気や事故、あるいは薬物・アルコールの摂取により、脳や精神に障害を負った人も対象となります。
高次脳機能障害
高次脳機能障害とは、病気や事故により脳が損傷され、認知機能に障害が起きた状態をいいます。
主な症状として、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害のほか、失語、失行、失認などもみられます。このような症状により、日常生活、社会生活に困難が生じます。
診断基準としては、MRI 、CT、脳波などにより認知障害の原因と考えられる脳の「器質的病変」が認識されている、もしくは、診断書により脳の「器質的病変」が存在したと確認できることが必要です。
脳の器質的病変に基づく認知障害のうち、身体障害として認定可能である症状を有しますが 、先天性疾患、周産期における脳損傷、発達障害、進行性疾患など、受傷、発症以前からの症状と検査所見は除外されます。また、その原因となった外傷や疾病の急性期症状を脱した後に診断を行います。
依存症候群
精神依存:その物質を摂取しないでいると、その物質を摂取したいという強い願望(渇望) が生じることをいいます。
身体依存:その物質を摂取しないでいると、身体症状(振戦、興奮、抑うつ、不安感など)が生じる状態のことをいいます。アルコールでは、その症状を離脱症候群といいます。
物質を繰り返し摂取していると効果が弱まり、量を増やさなければ効果が得られなくなる現象を「耐性」といいます。しかし、コカイン、一部の大麻、覚せい剤、幻覚薬は、身体依存は生じないとされています。また、コカイン、大麻は耐性も生じないといわれています。
予想問題を解いてみよう!
問題:以下の精神疾患の症状や特徴として誤っているものを1つ選択せよ。
①喫煙や飲酒行動など、個人の嗜好であっても、依存の症状を呈することがある。
②近年、高アルコール飲料、カフェイン入り栄養ドリンク、市販の咳止め薬なども薬物であると警笛を鳴らす声が増えている。
③筋ジストロフィーの進行による運動機能の低下も高次脳機能障害に含まれる。
④高次脳機能障害とは、事故や病気などの脳損傷後に、記憶・注意・遂行機能などの脳機能に障害がみられるものをいう。
解答を見る
正答:③
筋ジストロフィーとは、骨格筋の壊死、再生を主病変とする遺伝性筋疾患のことをいう。主な症状は、骨格筋障害による運動機能低下で、そのほか、拘縮・変形、呼吸機能障害、心筋障害、嚥下機能障害、消化管症状、骨代謝異常、内分泌代謝異常、眼症状、難聴、中枢神経障害など、さまざまな機能障害や合併症を伴うこともある。このような進行性疾患によって記憶障害や知能の低下が生じたとしても、それは高次脳機能障害には該当しない。
【参考文献】
1)国立障害者リハビリテーションセンター.高次脳機能障害を理解する.http://www.rehab.go.jp/brain_fukyu/rikai/(2021年6月24日閲覧)
2)公認心理師試験対策研究会.心理教科書 公認心理師 出る!出る! 要点ブック+一問一答 2021年版.東京,翔泳社,2021,304p.
3)公益財団法人難病医学研究財団/難病情報センター.筋ジストロフィー.https://www.nanbyou.or.jp/entry/4522(2021年5月13日閲覧)
(構成・文/社会福祉法人つむぎ福祉会生活支援センターコットン 相談支援担当 臨床心理士・公認心理師・相談支援専門員 永福沙都子)
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