ウェクスラー式知能検査|心理士が選ぶ!公認心理師試験で押さえておきたいキーワード

ウェクスラー式知能検査

ウェクスラー式知能検査にはWPPSI・WISC・WAISの3つがあります。

WPPSIは現在Ⅲまで刊行されています。対象年齢は2歳6か月から7歳3か月です。2歳6か月から3歳11か月では、4つの基本検査(ことばの理解・積木模様・知識・組合せ)から全検査IQを算出できます。一方、4歳0か月から7歳3か月では、7つの基本検査(積木模様・知識・行列推理・単語・絵の概念・語の推理・符号)と、「記号探し」を加えた8つの実施により、言語理解・知覚推理・処理速度の指標得点が算出可能になります。

WISCは現在Ⅴまで刊行されています。対象年齢は5歳0か月から16歳11か月です。WISC-Ⅳの補助検査であった「語の推理」と「絵の完成」はなくなり、新しい下位検査として「バランス」「パズル」「絵のスパン」「数唱:数整列」が加わりました。

WISC-Ⅴの解釈は、全検査IQ・主要指標・補助指標の3つの指標レベルで行うことができます。

主要指標には、言語理解指標・視空間指標・流動性推理指標・ワーキングメモリー指標・処理速度指標の5つがあります。そして、補助指標は、量的推理指標・聴覚ワーキングメモリー指標・非言語性能力指標・一般知的能力指標・認知熟達度指標の5つがあります。ニーズに応じてさまざまなグループの認知能力を測れるようになりました。

WAISは現在Ⅳまで刊行されています。WAIS-Ⅲの対象年齢は、16歳から89歳でしたが、Ⅳは90歳11か月まで適用範囲が拡大されました。10の基本検査(類似・単語・知識・積木模様・行列推理・パズル・数唱・算数・記号探し・符号)と、5つの補助検査(理解・絵の完成・バランス・語音整列・絵の抹消)からなります。(ただし、バランス・語音整列・絵の抹消は16から69歳のみに適用)。基本検査から、全検査IQ・言語理解指標・知覚推理指標・ワーキングメモリー指標・処理速度指標の合成得点が算出できます。

予想問題を解いてみよう!

問題:ウェクスラー知能検査に関するアセスメントについて、正しいものを2つ選択せよ。
①ワーキングメモリーとは、課題遂行中に目的を保持し、妨害などがあっても脱線せずにゴールに向かうための記憶力である。
②知覚推理指標では、視覚運動協応や視覚的短期記憶の水準を測ることができる。
③WISCの知能水準分類では、IQ65以下が境界域になる。
④各指標における下位検査の評価点に5ポイント以上のばらつきがある場合、合成得点の解釈は慎重に行うべきである。
⑤検査時の多動や衝動的な行動、言語理解と知覚推理に比べて、ワーキングメモリーと処理速度が低い右肩下がりプロフィールから、ADHDと診断できる。
 

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正答:①・④
①〇:脱線せずゴールに向かうための記憶力であるとともに、課題や活動が終わったらただちに解放されるものでもある。
②✖:処理速度の説明になる。知覚推理指標では、洞察力や基礎知識の応用力・直感的思考力・視覚認知の水準を示す。
③✖:境界域はIQ70以下。
④〇:合成得点は、評価点の集計から算出される。そのため、評価点に大きなばらつきが認められる場合、合成得点の解釈は慎重に行う必要がある。
⑤✖:心理検査から得た情報のみから診断を下すのは望ましくない。また、公認心理師の立場から診断を下すことはできない。

 
【参考文献】
・上野和彦ほか.日本版WISC-Ⅳによる発達障害のアセスメント:代表的な指標パターンの解釈と事例紹介.東京,日本文化科学社,2015,262p.
・藤田和弘ほか.日本版WAIS-Ⅲの解釈事例と臨床研究.東京,日本文化科学社,2011,278p.
・日本文化科学社.WISC-Ⅴ知能検査.
https://www.nichibun.co.jp/seek/kensa/wisc5.html(2022年3月2日閲覧)
・日本文化科学社.WAIS-Ⅳ知能検査.
https://www.nichibun.co.jp/seek/kensa/wais4.html(2022年3月2日閲覧)
 
(構成・文/国立成育医療研究センター 心理療法士/公認心理師・臨床心理士 後藤結子)
 
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