公認心理師クイズ(13)障害者(児)の心理学
- 2018-9-6
- 国家試験対策
Q1.さまざまな疾病や障害に関する分類についての説明として、誤っているものを選択せよ。
A.国際生活機能分類(ICF)は、国際障害分類(ICIDH)の改訂版として作成されたものである
B.ICD-10は生活機能分類として用いられるものである
C.DSM-5は診断分類として用いられるものである
D.DSM-5の日本語版では、これまで用いられてきた「障害」という表記を「症」へと変更することが議論され、結果として双方を併記することとなったものが散見される
A1.回答を見る
Bが正解です。ICD-10はinternational statistical classification of diseases and related health problems(略称:international classification of diseases)を指し、日本語名としては、「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」と呼ばれることがある診断分類です。ちなみにICFはinternational classification of functioning,disability and health、ICIDHはiInternational classification of impairments, disabilities and handicaps、DSMはdiagnostic and statistical manual of mental disordersの略です。
Q2.DSM-5の懸念として指摘されているもので不適切なものを選択せよ。
A.2週間持続する正常悲嘆でも、うつ病(DSM-5)の診断がつけられること
B.成人ADHDの診断基準が緩和され、単なる注意の転動性と混同されるおそれがあること
C.正常との境が不明確な新しい精神疾患の一つとして過食性障害が挙げられていること
D.DSM-5は、DSM-IV以降の年月に蓄積されたデータが反映されていないこと
A2.回答を見る
Dが正解です。DSM-5は、DSM-IV以降の月日で蓄積された膨大なデータの記述によるものとされており、約1,000ページに及ぶ大冊となっています。また、「DSM-V」は誤記で、「DSM-5」が正式名称です。ちなみに、正常との境が不明確な新しい精神疾患としては過食性障害のほかに、軽度認知症、重篤気分調節症が指摘されています。
*参考文献:アレン・フランセス.精神疾患診断のエッセンス DSM-5の上手な使い方.大野裕ほか訳.東京,金剛出版,2014,250p.
日本精神神経学会監修.DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引き.高橋三郎ほか監訳.東京,医学書院,2014,448p.
Q3.DSM-5におけるDSM-IV(TRを含む)からの変更点として、不適切なものを選択せよ。
A.レット障害は自閉スペクトラム症に分類された
B.広汎性発達障害(DSM-IV)に含まれる障害の多くは、自閉スペクトラム症に含まれることになった
C.注意欠陥・多動性障害は注意欠如・多動症と呼ばれるようになり、神経発達症群(神経発達障害群)に分類されるようになった
D.摂食障害は「食行動障害および摂食障害群」と呼ばれるようになり、下位分類として新たに過食性障害が追加された
A3.回答を見る
Aが正解です。レット障害は、原因遺伝子が特定されたことにより除外されました。これまでは広汎性発達障害の下位分類として、自閉性障害、アスペルガー障害、レット障害、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害がありました。しかし、DSM-5では下位分類がなくなり、「自閉スペクトラム症」という名称の中に、レット障害を除くものが含まれることになりました。
Q4.リハビリテーションに関する記述のうち正しいものを選択せよ。
A.リハビリテーションは、各種専門職が主導するものである
B.セルフ・ディターミネーションとは、各種専門職がリハビリテーションの計画を立案することを指す
C.リハビリテーションは精神的な権利の回復もめざすものである
D.理学療法士をPT、作業療法士をOT、言語聴覚士をSCと呼ぶことがある
A4.回答を見る
Cが正解です。リハビリテーションは全人間的な権利の回復をめざすものなので、身体機能の回復など、いわゆる医学的側面にとどまらず、精神・社会的な回復も志向するものです。また、セルフ・ディターミネーションという概念が知られている通り、リハビリテーションは、自己決定により本人が主導するものであり、各種専門職が主導するものではないと考えられています。ちなみに、言語聴覚士はST(speech-language-hearing therapist)です。
Q5.TEACCHに関する記述として誤っているものを選択せよ。
A.TEACCHは自閉スペクトラム症を対象とした療育プログラムである
B.TEACCHは一生涯、地域で生活することが可能となるための長期的で体系的なプログラムである
C.TEACCHは米国で発展してきた、教育支援に焦点化したプログラムである
D.TEACCHは個別化された療育プログラムを実施するものである
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Cが正解です。TEACCH(treatment and education of autistic and related communication handicapped children)は自閉スペクトラム症を対象とした療育プログラムで、一生涯、地域で生活することが可能となるための長期的で体系的なプログラムです。TEACCHは米国で発展してきたもので教育支援も含まれますが、それにとどまらない、包括的な生活支援のプログラムとなっています。 実際の療育は、個別化されたプログラムを実施します。
Q6.以下の説明のうち、誤っているものを選択せよ。
A.応用行動分析は、ジェローム・ブルーナー(Bruner,J.S.)による発見学習に基づくものである
B.ソーシャル・スキルズ・トレーニングとは、対人行動のつまずきを改善しようとする技法である
C.認知行動療法は、要支援者の行動や情動の問題に加え、認知的な問題へのアプローチも志向するものである
D.合理的配慮とは、障害者から何らかの助けを求められた場合に、過度な負担にならない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要な便宜を図ることを指す
A6.回答を見る
Aが正解です。応用行動分析は、バラス・スキナー(Skinner,B.F.)による徹底的行動主義に基づくものです。人間の行動問題の分析と修正を目的として1970年代以降、大きく発展してきました。また、ブルーナーによる発見学習とは、学校場面などでの学習行動を考えるときに、児童や生徒に既成事実としての知識を伝達するのではなく、児童や生徒自身に発見させていく手法を指します。