薬物依存・アルコール依存|心理士が選ぶ!公認心理師試験で押さえておきたいトレンドキーワード
- 2021-7-24
- 国家試験対策
薬物依存・アルコール依存
アルコールやニコチンの反復使用、 覚せい剤や大麻などの違法薬物および有機溶剤、市販薬・処方薬などの薬物の乱用を繰り返した結果、それらの物質使用を減らしたり、止めたりすることができなくなった状態を、(物質)依存といいます。なお、「乱用」とは、違法薬物を1回でも使用する、有機溶剤などを本来の目的以外で使用する、市販薬・処方薬の用量・用法を守らないで使用することなどを指します。
国内の違法薬物政策は、刑罰をもって違法薬物の供給と需要を低減させようとする厳罰政策とされます。一方で、近年の国際社会では、厳罰政策の限界が指摘され、それに代わるものとして、ハームリダクション(harm reduction)が注目を集めています。これは、薬物をやめられない人が一定数いることを前提とし、薬物使用によって生じる個人の健康や経済、社会への被害(ハーム)を低減する(リダクション)ことを目指す、公衆衛生政策と支援実践の理念です。なお、ハームリダクションは、違法薬物の供給・需要低減施策を否定するものではなく、それを補完する施策とされます。
国内のアルコールに関する政策は、2010年にWHOが採択した「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」を受けて、2013年にアルコール健康障害対策基本法が成立されました。アルコール依存症の治療、予防、社会復帰支援などが念頭におかれ、国や地方公共団体の責務や基本的施策が定められました。
予想問題を解いてみよう!
問題:薬物依存・アルコール依存について、正しいものを1つ選べ。
①違法薬物を1回でも使用したら、「乱用」とされる。
②アルコールやニコチンは合法薬物なので、依存にはならない。
③ハームリダクションとは、薬物使用者に刑罰を与え、再犯を防止することである。
④アルコール健康障害対策基本法では、アルコール依存症が定義されている。
解答を見る
正答:①
①違法薬物を1回でも使用したら、「乱用」とされる。
②合法薬物だからといって、依存性がないわけではない。
③ハームリダクションとは、薬物使用によって生じる個人の健康、経済、社会への被害(ハーム)を低減する(リダクション)こと目指す、公衆衛生政策と支援実践の理念とされる。
④アルコール健康障害対策基本法では、アルコール健康障害が定義されている。
【参考文献】
1)松本俊彦編.アディクション・スタディーズ:薬物依存症を捉えなおす13章.東京,日本評論社,2020,256p.
2)樋口進編著.現代社会の新しい依存症がわかる本:物質依存から行動嗜癖まで.東京,日本医事新報社,2018,256p.
(文・構成/臨床心理士・公認心理師 阿相周一)
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