公認心理師クイズ(2)問題解決能力と生涯学習

Q1.自己の課題を発見するために必要なこととして、誤っているものを選択せよ。

A.コンピテンシーを高める
B.スーパービジョンを受ける
C.教育分析を受ける
D.自分自身を俯瞰する
E.分散分析を行う

A1.回答を見る

Eが正解です。分散分析とは、F分布を用いた、推測統計に分類される統計的分析手法のこと。『公認心理師 現任者講習会テキスト』においては、①コンピテンシーを高めること、②スーパービジョンを受けること、③教育分析を受けること、④自分自身を俯瞰することが自己の課題を発見するために必要なこととして挙げられています。

*参考文献:公認心理師 現任者講習会テキスト 2018年版(一般財団法人日本心理研修センター監修)

Q2.心理職の「コンピテンシーの立方体モデル」における3つの次元の組み合わせとして正しいものを選択せよ。

A.基盤コンピテンシー ― 機能コンピテンシー ― 職業的発達
B.基盤コンピテンシー ― 機会コンピテンシー ― 職業的発達
C.危機的コンピテンシー ― 機能コンピテンシー ― 職業的発達
D.基盤コンピテンシー ― イノベーターコンピテンシー ― 職業的発達

A2.回答を見る

Aが正解です。コンピテンシーとは、もともとは顕在的なパフォーマンスの背景にある潜在的な能力を指すものですが、心理職のコンピテンシーという文脈では、必要とされる潜在的・顕在的能力のことを指しています。コンピテンシーの立方体モデル(Fouad et al. 2009)とは、基盤コンピテンシー、機能コンピテンシー、職業的発達という3つの次元が設定された立方体モデル(Cube Model)として知られています。基盤コンピテンシーには、心理職に不可欠な姿勢、価値観、行動規範、倫理的姿勢等が含まれ、機能コンピテンシーには、心理的アセスメント、介入、コンサルテーション等が含まれ、職業的発達には博士課程の教育、就職後の研修期間等が含まれています。このモデルはさまざまな実践領域にに共通する基礎的なコンピテンシーを高めるための教育訓練制度のために考えられたとされています。

*参考文献: Fouad,NA.et al.Competency benchmarks:A model for understanding and measuring competence in professional psychology across training levels.Training and Education in Professional Psychology.3(4 Suppl),2009,S5-26.

Q3.優れた臨床家(マスターセラピスト)の感情的特徴について、誤っているものを選べ。

A.深い自己受容
B.純粋に謙虚
C.自己への気づき
D.成長への強い意志
E.誇示された力強さ

A3.回答を見る

Eが正解です。「誇示された強さ」ではなく「秘めた強さ」です。マスターセラピストの感情的特徴として、①深い自己受容、②純粋に謙遜、③自己への気づき、④成長への強い意志、⑤生を情熱をもって楽しむ、⑥秘めた強さ、⑦活気に満ちていることが挙げられます。これらの感情と、認知的特徴(複雑な曖昧さを歓迎する、貪欲に学ぶ等)、関係的特徴(他者と深く関わる、寛容であるが境界は明確である等)を持ち合わせていることが、ほかの心理士から尊敬される、優れた心理士にとって必要なスキルとなります。

*参考文献:公認心理師 現任者講習会テキスト 2018年版(一般財団法人日本心理研修センター監修)

Q4.RonnestadとSkovholt (2003) による臨床家の6期発達モデルについて、下記のうち正しい順のものを選択せよ。

A.素人援助者期 ― 初学者期 ― 上級生期 ― 初心者専門家期 ― 経験を積んだ専門家期 ― 熟練した専門家期
B.初学者期 ― 素人援助者期 ― 上級生期 ― 初心者専門家期 ― 経験を積んだ専門家期 ― 熟練した専門家期
C.素人援助者期 ― 初学者期 ― 上級生期 ― 初心者専門家期 ― 熟練した専門家期 ― 経験を積んだ専門家期
D.素人援助者期 ― 初学者期 ― 初心者専門家期 ― 上級生期 ― 経験を積んだ専門家期 ― 熟練した専門家期

A4.回答を見る

Aが正解です。臨床家の職業的成長のプロセスである「RonnestadとSkovholt(2003)による6期発達モデル」は、特定の職業的発達段階にある臨床家・訓練生に共通する中心的発達課題、心理的テーマ、感情体験、学習プロセス等から整理されたものです。このモデルに基づき、臨床家として成長していくことが求められています。

*参考文献:公認心理師 現任者講習会テキスト 2018年版(一般財団法人日本心理研修センター監修)
Ronnestad,MH.Skovholt,TM.The journey of the counselor and therapist:Research findings and perspectives on professional development.Journal of Career Development.30(1),2003,5-44.

Q5.生涯学習における偶発的学習とは下記のうちどれか。

A.専門団体によって正規の研修として位置づけられており、専門家は受講生として受講し、その学習効果は満足度やテスト等の形によって評価される
B.専門誌や専門書を読んだりする等、講師や明確な枠組みがないままに行われ、単位等も計算されないもの
C.授業を教える、専門団体の委員等を務める、ワークショップの講師を務める等、評価や単位等はないもの
D.大学の講演会やシンポジウムや職場の事例検討会に出席する等、正規の単位や評価が与えられないもの

A5.回答を見る

Cが正解です。偶発的学習とは意図せずに得られた学習のことです。生涯学習における偶発的学習とは、心理職の業務を行うことが結果的に学習となっている場合を指します。授業を行う、専門団体の委員等を務める、ワークショップの講師を行う等、評価や単位等がない学習です。このような実践の中から得られる学習も、心理職には求められています。

Q6.生涯学習に必要な継続訓練から起こる継続学習に含まれないものを選べ。

A.フォーマルな継続学習
B.インフォーマルな継続学習
C.偶発的学習
D.必然的学習

A6.回答を見る

Dが正解です。継続学習とは個人が継続的に訓練を続けることで得られる学習のことです。 『公認心理師 現任者講習会テキスト』では、Taylor & Neimeyer (2016) を引用し、継続訓練から起こる継続学習は、フォーマルな継続学習、インフォーマルな継続学習、偶発的学習、ノンフォーマル学習の4つに分けられることが示されています。フォーマルとは専門団体による正規の研修で、インフォーマルとは専門誌や専門書を読むこと、偶発的とは、心理職の業務を行うことが結果として学習となるもの、ノンフォーマルとは受講生として正規の単位や評価が与えられない講演会の受講や事例検討会への参加を指すものです。これらの学習が心理職には求められています。

*参考文献:公認心理師 現任者講習会テキスト 2018年版(一般財団法人日本心理研修センター監修)
Taylor,JM.Neimeyer,GJ.Continuing education and lifelong learning strategies.APA handbook of clinical psychology.vol.5.Norcross,JC.et al.ed.Wahington DC,APA Books,2016,135-52.

 

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