愛着障害|心理士が選ぶ!公認心理師試験で押さえておきたいトレンドキーワード

愛着障害

愛着は、「特定の人に対する情緒的な絆」のことで、子どもにとって、恐怖や不安から守られる「安全基地」、そこに行くと落ち着く、ほっとする「安心基地」、そこから離れても大丈夫で、離れていったことを報告して認めてもらう「探索基地」という3つの機能があります1)。ボウルビィ(J. Bowlby)は、子どもにも養育者にも能動的にかかわろうとする力が備わっており、養育者との相互交流や関係の形成が進むと考えました2)

愛着障害とは、愛着関係がうまく形成されないことによる障害で、コミュニケーションや行動の問題などが見られます。DSM-5では「反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害」と「脱抑制型対人交流障害」と記載されており、「反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害」では、「その障害は5歳以前に明らかである」とされています3)。愛着は子どもと養育者の「相互作用としてとらえられるもの」で、「愛着障害は関係性の障害」です1)。そのため養育者の育て方だけでなく相性の問題だととらえ、養育者と子どもの関わりへの支援も必要です1)。愛着障害は早期対応が望ましいですが、愛着形成はいつからでも可能であり、手遅れということはありません。

現実には発達障害の子どもと似た特徴を示す場合が多く、鑑別が難しいため支援が混乱することがあります。発達の特性、子どもと養育者の関係性についてよく見極めることが必要です。

予想問題を解いてみよう!

問題:愛着障害の子どもについて、正しいものを1つ選択せよ。
①愛着障害は虐待やネグレクトなど、養育者の育て方が原因で生じる。
②DSM-5において「反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害」では、その障害は5歳以前に明らかであるとされる。
③愛着の形成は乳幼児期にできなければ、その後、形成することはできない。
④愛着障害の子どもと発達障害の子どもは、似たような特徴を示す場合が多く、同様の理論に基づいた支援を行うのが効果的である。
 

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正答:②
①同じ親でも兄弟の一方にのみ愛着の問題が生じるということがある。愛着障害は育て方だけが原因ではなく、相性の問題だととらえる2)
②反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害の子どもは、人に対して不安、緊張、警戒が極端に強くなるという特徴、脱抑制型対人交流障害の子どもは、人に対して接近の仕方が過剰で無警戒である2)という特徴がある。
③愛着の形成は乳幼児期に形成されなければ、その後、形成ができないというわけではなく、適切なかかわりをすれば、愛着形成は生涯、発達する。
④愛着障害の子どもは、多動、危険な行動、注意引き行動といった行動問題として感情を表すことが多く、発達障害の子どもの行動特性と似ているが背景にある問題は異なる。ADHDは実行機能(行動)の問題、ASDは認知の仕方の問題があり、支援方法はそれぞれ異なる1)

 
【引用・参考文献】
1)米澤好史.やさしくわかる!愛着障害:理解を深め、支援の基本を押さえる.東京,ほんの森出版,2018,160p.
2)滝川一廣.子どものための精神医学.東京,医学書院,2017,464p.
3)DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引.日本精神神経学会(日本語版用語監修),髙橋三郎・大野 裕(監訳).東京,医学書院,2014,448p.
 
(構成・文/公認心理師 本原 圭)
 
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