他職種からみた心理職の働き方に関するアンケート結果

  • 2021-9-9

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アンケート概要

こころJOBメールマガジンならびにSNSにおいてアンケートへ協力を依頼した。
・回答対象者…心理職
・有効回答数…45
・回答期間…2021年6月4~30日

※自由記述欄の回答においては、抜粋、一部改変しております。

 

Q1 現在お持ちの心理関係の資格を教えてください(複数回答可)。

 

【表内その他の内訳】
*臨床心理士、その他:薬剤師
*公認心理師、その他:カウンセリング心理士/キャリアコンサルト、キャリア・デベロップメント・アドバイザー/看護師/言語聴覚士/社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員/精神保健福祉士、介護支援専門員/精神保健福祉士/保健師、看護師
*公認心理師、臨床心理士、その他:特別支援教育士、中学校教諭専修免許、高等学校教諭一種免許/保育士、相談支援専門員
*公認心理師、認定心理士、その他: THP(心理相談員)、スピリチュアルケア師
*公認心理師、産業カウンセラー、その他: CPS/精神保健福祉士
*公認心理師、認定心理士、産業カウンセラー、その他:精神保健福祉士
 

Q2 現在の勤務先での職種を教えてください(自由記述)。
Q3 前職と現職で職種が異なる方は、前職の職種を教えてください(自由記述)。

※前職→現職で異なる方のみ一部記載
・精神科病棟勤務看護師→看護学校教員
・看護助手、心理相談員→心理職
・心理職、テスター、巡回相談員→児童指導員(心理職、教師職)
・講師→管理職、心理職
・講師→電話相談員
・相談員→児童福祉司
・公務員→心理職

 

Q4 心理職に転職された理由、あるいは他職種として働きながら心理関係の資格を取得された理由を教えてください。

・以前に持っていた認定資格では専門部署への配属が難しかったため公認心理師資格を取得した。心理関係の資格が充分に活かせていないと感じたため転職した。
・保健師業務に従事していた際、メンタルヘルス相談やカウンセリング業務が増え、専門性を高める必要性があると考え、学びを深めたいと思ったため。
・産業保健分野で働いている。休職理由で最も多いのが精神疾患であり、休職期間も長くなることから、支援のためには専門知識が必要と思い、資格を習得した。
・医薬品の営業活動を行っていたときに医療者と話す中で心理職の必要性を強く感じた。営業では患者さんと直接やりとりができないため、患者さんと近い距離で向き合いたいと思った。
・精神保健福祉の分野で働いている。精神医学や社会福祉学の視点だけでなく、心理的な視点を業務に取り入れたくて、患者さんや他の支援者に対して、説得力をもたせるために公認心理師資格を取得した。
・介護支援専門員で、利用者の生活に深く関わる対人援助において、根拠となるものや自信になると思ったため。
・看護師として働く中で、患者のもつ苦しみにもっと寄り添いたいと思ったから。
・立場としては心理職ではないが、DV被害者支援の職務で対面相談をしている。心理学の知識をもって相談者へアセスメントする必要があったため取得した。
・慢性疼痛やうつ、介護家族の精神的疲労、医療だけではとても解決できないことが現場では山積している。何か解決の糸口がないかと日々模索中。
・臨床心理士をもちながら、障がい福祉領域で働いてきた。公認心理師ができ、障がい福祉領域では、公認心理師が人員配置の加算要件に入るなど、この領域での心理士の可能性が少しずつ開けてきたように感じた。ここで頑張り続けたい、心理士の職域を広げていきたい、心理士の働きを認めてもらいたいという思いで資格を取得した。
・特別支援学校の教員をしながら公認心理師の資格を取った。巡回相談で小学校を訪問する中で発達障害の疑いがある児童へ適切な支援を行うために必要だと思ったから。
・福祉の相談を受けるにあたり、精神疾患を患っている人が多く、心理的な知識があると良いと思った。
・進路相談を受ける部署に配属されて、それまで相談を受ける業務に就いていなかったため、カウンセリングの知識不足を痛感したため、心理系の大学院に入学を決め、Dルートで公認心理師受験資格を得た。
・大学で社会心理学を専攻、その後人事職で働き、出産を機に退職。子育てしながら出身大の講座でカウンセリングの勉強を開始。子育てが楽になり始めたところで、専攻、経験した仕事、出産、子育ての経験等を活かすために、心理関係の資格を取得した。

 

Q5 「キャリア」「働き方」「働く環境」において、心理職に対して「良い」と思われる点を教えてください(自由記述)。

・教育分野において、心理職はある意味「専門職」として扱ってくれるため、発達障害などの子どもへの対応が必要な学校現場では、心理検査や発達・教育相談、コンサルテーションなどにおいて必要とされる。
・非常勤勤務を掛け持ちで働きながら、自分の専門性を高めることができる
キャリアの中断があっても、学び続けることで、専門職として働けるところ。
・資格が活かせる。他職種間連携と共有が可能であり、学びが深まる。
自己研鑽ができる。さまざまな領域で実践することも可能。
・自分の価値観を見つめながら働くことができる。
・常に学ぶ姿勢を持ち続けられる。自分の知らない世界について聞く機会が多く、いろいろな働き方を知ることができる
・所属が変わっても、以前のキャリアの上に、新たなキャリアを構築できる。
・多様な経験をもつ、個性の富んだ多職種などとともに学び合いながら勤務できること。

 

Q6 「キャリア」「働き方」「働く環境」において、心理職に対して「ここは変えたほうがより良くなる」と思われる点を教えてください(自由記述)。

【他職種からの視点】
・非常勤であることが多く、1施設の勤務時間が少なく、また、転職されることが多い。そのため一緒に働く他職種としても頼りにくく、クライエントも気の毒に思う。安定して働いてほしい
公認心理師の知名度がそれほど高くないのが現実。現職と比べて低い給与体制なので、今後の改善が望まれる。
・これまで働いてきた中で、臨床心理士には他職種連携が下手な方、ないしはその発想がない方が多くいた。公認心理師は、他職種連携も心理師として求められる専門性だと自覚して働いてほしい
・はじめから一人職場や、経験年数の変わらない同僚の中で働く環境により、臨床教育が希薄な印象がある。
・心理士は、背景になるベースが多様なため、我流になりやすい。我流でアセスメントされるため、連携する際、方向性が食い違いやりづらい。土台となるものを統一してほしい。
 
【心理職としての視点】
・心理職は時に孤立しやすい立場なので、もっと他職種の中でも認められるスキルがほしい。
・資格取得のために費やした費用や時間の割に、給与や雇用条件が悪い。求人はあっても、即戦力を求める所ばかりで、心理職を育てるような所はなかなかない。一般に推奨される専門家像はあるが、雇用条件が悪いので、生活をするだけで手一杯で、自己研鑽のための金銭的・時間的余裕がない。キャリアの積み方もわかりにくい。心理職が安定して働き自己研鑽もできるよう、求人側も雇用条件を考慮していただきたい。また、他の職種と同じように初心者の心理職が働きながら育ててもらえるような職場が増えることを願っている
・時間給の仕事がほとんどで、心理職の場合、面接時間外に記録、考察、今後の方策作りが必要だが、その分の給与は支払われないケースもある。給与も専門職の割に設定が低く、契約もほぼ一年更新。安定して働く環境にない。給与水準の見直し、責任の重さに見合う待遇改善が急務ではないか。
・フリーが多いので、健康保険や年金などの費用と手続きが煩雑な上、福利厚生の恩恵にあずかれない。臨床心理士会など職能団体で統一して作れるとよいと思う。
・臨床心理士と公認心理師の捉え方の統一。

 

Q7 そのほか、「他職種からみた心理職の働き方」についてのご意見、ご質問があれば教えてください(自由記述)。

・以前のアンケート結果(心理職の産休・育休に関するアンケート)を見ていると、もっと社会的に認められるべき職種なのになぜ?と思う。保健師よりも社会的認知度が高いにも関わらず、労働環境が整っていない。看護師は待遇改善を巡って声を上げてきた歴史がある(伝聞ですが)。心理職もその途上ではないか。
保険点数がつき、在宅の現場に心理職も連携して訪問することが可能となってほしい。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士は可能。近年、薬剤師や栄養士も可能となりとても役立っている。
・精神科医、心療内科医の心理職への専門家としての理解が適当でない、と残念に思う。医療界はまだまだ、看護師・心理職を医師の下とみる風潮が強く、その改善ができないと、カウンセラーに話を聴かせるだけで、参考程度、向精神薬を処方し続ける医療が続くことになると思う。医師、心理職どちらもがプロとして手を携える医療が必要
・介護支援専門員(ケアマネジャー)です。高齢分野にも積極的に関わってほしい。高齢者や介護する家族、介護スタッフへの心のケアに対するニーズはたくさんある。
・心理職として受けてきた教育では、いろいろと不自由な枠組みがありそうだなと感じる。もう少し自由な発想で援助を展開してもよいのでは。
「大変だな」と傍から見ていて感じさせないようなイメージを作っていくことが必要なのかもしれない。
・勤務している職場は500床以上の病院であるにも関わらず常勤が1人で少ないと思う。患者さんも職員も対象とうたっているが、1人では対応しきれないのではないか。
・まだまだ「心理士がどこで何をしているのかがわからない」という他職種からの声は多い。その声を真摯に受け止め、心理士としての働き、仕事を認めてもらえるのかを、心理士以前に、一人の社会人としてのあり方などから考える必要はあると思う
・心理職はこのコロナ禍で重要任務を担えると思う。ただ、心理職の方々がどのように活躍されているのか、世の中に見えづらい状況ではないか。

(2021年9月9日更新)

(編集・構成/こころJOB編集室)

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